AT1債(Additional Tier 1債)は、銀行が自己資本を強化するために発行するハイブリッド債の一種です。通常の債券とは異なり、発行銀行の財務状況が悪化した場合に元本が減額または無価値になる可能性があるという特徴があります。
2023年、クレディ・スイスが経営危機に陥った際、スイス金融当局の決定により同社が発行していたAT1債約2.2兆円が無価値とされました。これはAT1債の契約条件に基づく措置で、銀行の資本不足時に株主より優先して損失を負担する仕組みになっていたためです。
AT1債は通常の債券と比べて、①満期がなく永久債である場合が多い、②発行体の財務状況次第で利息支払いが停止可能、③資本不足時に元本減額や株式転換が行われる、といった点が大きく異なります。その代わり、通常より高い利回りが設定されています。